娯楽室は同じ設備を2輌連結しております。
2011-02-22


お客様はご自慢のソフトをお持ち寄りになり、こもごもごゆっくり心行くまでお楽しみください。ご鑑賞の後は、娯楽室の間にあるサロンで、しばしのご歓談をお楽しみください――なんて列車を実際に走らせたら、さっそくACCSから「特定少数でも著作権法にいう『公衆』にあたることを知らんのか。無断で公衆に対する上演を宣伝するとは著作権侵害の幇助だ、けしからん、違法だ逮捕だ、ギャアギャアギャア」と言われそうなご時世です。

 実際、映画館では「映画泥棒にご注意」なんて、まるで客を泥棒扱いするようなCMを平気で流したうえに、家庭でダウンロードソフトを使っているところに、いきなり「おまわりさん」が手錠をかける場面まで上映する無神経さに、最近さっぱり映画館に行く気がしません。だいたい、音も劣悪なのに誰が金を払って……(以下自粛)。

 だから早くLift-offして、こんな法の及ばない世界へ出発しましょうね。

 愚痴はともかく、久しぶりにスタートレックが見たくなって、ブルーレイを借りました。日本では1979年に公開されたスタートレック、ジョン・ダイクストラとダグラス・トランブルという大御所がSFXを、科学監修にアイザック・アシモフ、シド・ミードもデザインに参加と、綺羅星のように輝くスタッフ・ロール、そして雄大な音楽にゆったりと大宇宙を航行するNCC-1701エンタープライズ……最初これを見たときには、邦画不振も極まれり、と言われた時代だけに「こりゃあ、到底かなわないなぁ」と嘆息したものです。なるほど、その年、長谷川和彦の「太陽を盗んだ男」という今なおカルト的人気を誇る傑作が生まれていましたが、その他は、というと…女優のヌードが話題になれば「御の字」という時代だった、と記憶しています。

 さてその一方、松本清張生誕100周年ということで、この3月にもテレビ朝日系で「砂の器」がスペシャル・ドラマとして放送されるなど、特にテレビ朝日系は、かつて松本清張が朝日新聞西部本社の文選工だったというゆかりなのか、その映像化に熱心なようです。そのうち、最近再放送されたところで、同じくスペシャル・ドラマ「点と線」、そして少し前、犬童一心監督の「ゼロの焦点」を見ました。

 この2本、TVドラマと映画という違いはあるにせよ、印象に残るのは舞台となった昭和30年代を再現する努力というか執念の凄まじさでした。特に「点と線」の有名な「空白の4分間」、どう見ても東京駅構内としか思えないところへ、横須賀線や東海道線の旧型電車がホームへ滑り込んでくるあたり、「いったい、どこを使ってこんなことをやったのか?」と首をかしげるばかりでした。聞くところによると、JR西日本の全面協力でとある運転所にJR側の全面協力で作ったオープン・セットだとか……なるほど、本物なわけね、と思ったものです。

「ゼロの焦点」にしてもしかりで、日本の昭和30年代を再現するために,、なんと韓国ロケまでやった、というのですから、そこまで場面を作りこまれれば俳優さんも熱が入って当然、だから当時の熱い空気の再現にまで至ったのだろうな、と自分なりに納得しました。

 それで、本題のスタートレック、今から30年も前のSFX技術だけに合成の跡もはっきりと、というのは言うまでもありません。むしろ、それでもやっぱり最後まで興味深く見せる懐の深さを称えるべきでしょう。しかし、同じ作り物でも実在しない作り物と、まぎれもなく多くの人の出会いと別れとを見続けてきたプラットホーム――単なるウェザリングではなく、明らかに当時の品物とおぼしき小道具もあちこちにある作り物とでは、勝負あった、と言わざるをえませんでした。

 日本の映像関係者は羨望したり歯噛みしたりの複雑な気分で、スタートレックをはじめとするハリウッドの大作を見つめてきたのでしょう、たぶん。たしかに、それを意識した邦画もあったように思います。しかし、それらのできは……後は読む方のご想像にお任せします。


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